ステンレスの台が足の輪郭をぬかして曇っている。 喉の奥でかみ殺した息の分、胸が上下し、爪がステンレスの上を滑った。 左足の親指をねぶっていた唇が離れる。ただでさえうすくて胡乱気なくせに、唾液で濡れた分赤くなった唇は卑猥だ。台所のタイルにひざまずいたカカシの隻眼は伏せられたまま、そのまますべった舌が土ふまずのあたりからくるぶし、足首を這いのぼる。

よせ、と云ったことは何度もある。一度もうした後で、後ろにはまだなにかが含まされているような熱っぽい感覚が残っている。最中はただでさえすっとんでいるのに、終わった後まではちみつみたいに絡む胸焼けしそうな空気は苦手だ。だがカカシはむしろ好んでサスケを引きずりこむのだ。

「……変態くせえな、あんた」
「そっけないんだもん、おまえ。こういうときぐらいにしないで、どうするの」

ふくらはぎのうすい傷跡、膝小僧をたどったカカシの唇が笑みにゆがんだ。黒いエプロンの裾からのぞく膝裏に爪をたてられる、痛みにサスケは眉をしかめ、胸あたりまでまくれあがったシャツの裾をもどし、上体をのろりとおこした。

「もう、しねえぞ」
「わかったって。風呂場行く?」

苦笑したカカシは立ち上がり、流し台の横にこしかけたサスケの唇にしたから救い上げるようにくちづける。

「妙なところでしやがって…」
「だってさー」

すこし疲れたように眼を伏せるサスケにたしかにちょっと無茶をしたかもとカカシは苦笑いだ。

(エプロンだったんだもん…)

ずる、と足を下ろしたサスケが歩こうとして、かくんと膝が折れそうになったのをとっさに支えると、腕の中でサスケの体が震えた。

「……ッ」
「わるい、痛かった?」
「ちげえよ、離せ。………ァッ」
「え?」

はねあがった声にカカシが見おろせば、さあっとサスケの首筋がいっきにうすあかくなった。

「え?ちょっと、なに、そのエロ声・・・」
「アホ言ってんじゃねえ!死ね、このエロガッパ!」

ごすっとまともに肘鉄をみぞおちに入れられそうになったのを手のひらで受け止めるが、そのすきに足をもつれさせながらサスケは壁伝いに手をついて、浴室に向かおうとしている。その肢から伝い落ちるのをみて、だめだった。

二の腕をつかんだ瞬間、やだ、と言うがカカシは聞かない。

抱き込まれたかと思えば、むんずと両手でつぼめていた尻をつかまれて割られる。我が物顔で指を差し入れられ、広げられるとぬるりと溢れ出すのがわかった。

「……ぅ、よ、せって……ぁッ」
「ごめん、しないって嘘。やっぱもうちょっとしたい」
「ん、ぁ、あ……ッ」
「入れないから」
「そ、うい……」

前を布地越しに撫でられて息を呑む。敏感な場所には綿の感じが荒くてすこし痛い。

「いじるだけ、ね、ダメ?」

壁に押し付けられて、ずるずると体が沈むこむのにあわせて、カカシも座り込み、首をふるサスケの耳元で何度もささやく。その間も両手で前も後ろもぬるぬるとまさぐられてたまらない。

「ぅ、…んッンッンッんゥッ」

ぐるりと指を回されて、撫でるようだった指の動きがふくらみをノックするようなきついものに変わると、もうどこもかしこもだめだ。

「あ、は…ッ」

入れる入れないの問題ではないし、だからそのほうがいやなのだ。だってつまり、入れないということは終わらないではないか。

(ただでさえねちっこいくせしやがって!)

「あんた、おかしい…っ」
「だってさー」

悲鳴まじりのサスケにカカシは苦笑しながらエプロンの裾をはぐる。しっとり汗ばんで産毛がきらきらした太ももは白くてやっぱりおいしそうだ。膝小僧から震える太ももに舌をすべらせると、力の抜けたサスケの拳が頭をたたいてくる。それぐらいの痛みならどうってことない。入れないから、ももう嘘になりそうだ。

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