やばい、キスだけでたってきた。
ああもう、ほんとにおかしいぞ。

「おい」
「ん」
「当たってるぞ」
「当ててんのー」

ぐいぐいと押しつけるようにすれば抱きしめた腕の中で肋骨が上下し、少し息を呑んだのがわかる。背中のほうのシャツをズボンから引きずり出し、なめらかな肌を撫であげながら今日はどうしてやろうかと考える。すると形をたしかめるように撫でられ、ん、とカカシは眉をあげた。

「一回するか」
「―――おっきくなったね、サスケクン」

間の開いたカカシの返答に直い睫毛に伏せられていた目が少しあがる。サスケの睫毛はまばらだがそのぶんまっすぐで長めに見えるのだ。にっとつりあがったうすい唇には余裕そうな笑み、そのくせ目元に紅を刷いたような色があって、きた。

かさついてすこし荒れた唇を指の腹で撫でるとかるく爪に歯が立てられる。問いかけるような目に同じく目で笑い返し、滑らせた手で頭をすこし下に押した。逡巡もせず跪いたサスケにこんどこそカカシは首をかしげる。

「いいの?」
「……する」

手のひらの下、指どおりのいい黒髪を撫でると耳が赤い。そのくせ釦をはずしファスナーを下ろす指に躊躇いはなかった。なんかオチでもあるんじゃないだろうかと疑ってしまう。

フェラなんてものはする側にとってみればちっとも気持ちよくない。顎は疲れるし舌も疲れるし喉の奥のほうに変な感触は残るしで、してる側がしてるときに気持ちがよくなるなんてことはぜんぶエロ本やエロビデオでしか知識のない、される側が付加した都合のいい妄想だ。

と、いうのがオトコノコに手をだして実によくわかった。

あそこがジュン、ってあそこなんてないしどっちかっていうとピコーンなわけなんだけど、それはもちろん目の前で好きな相手がきもちよさそうな顔をしていたり、自分にトレースしたり、もしくはそんなところに鼻つっこんでなめているなんていう自虐的な妄想によっては興奮するが、それだけだ。

ついでに言えば動物っていうのはにおいがコミニュケーションツール、腋下や股間からでるらしいから、性的なアピールもにおいで、っていうのは多々見られる。もしかしたらあの癖のあるチーズや納豆みたいな匂い系にはまる人間がいるのと同様、股座に顔をつっこんで興奮するのは、まあ、そんなところかもしれない。

おなじ顎や舌がつかれるならキスでもしたほうがよっぽどいい気がするが、なんていうか力の抜けた指で髪をつかまれ上からえろい声が降ってくるのを思い出したり、筋肉の張り詰めたすべすべの太ももで顔をはさまれたりするのを思い出すと、まあいいかと思ってしまう、そんなのって恋だ。

「……ぅ」

って話をずらしてるのはなんでかといえば、オトコノコの生理だと思っていただきたい。

「……はッ」

……どこで覚えてきたのって教えたの俺かよってコンマ一秒で突っこんでもしょうがないでしょ? あー、きもちいい……。

「さいご、……かけてもいい?」
「……」

怒るかと思ったらまつげが伏せられる。
ああ本当に、これって何事なんだろう。




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