赤と黒の情熱















すごいカルメンを踊る踊り子がいる店があると後輩のナルトに誘われ、カカシは小さな町の場末の酒場にいた。美人だろうなと聞けば町で評判だと言う、期待もせずに行けば成るほど狭い店内は人でいっぱいだった。甘いギターの旋律にのって、激しい手拍子が打たれる。黒いドレスを翻して美しい踊り子が現れた。白い肌に黒い髪が波打つ姿は妖艶で、なによりその赤い目が美しかった。カカシのみならず、誰もがその迫力に飲まれ酒場には、カスタネットを叩く音だけが鳴り響いた。

控え室に急ぐサスケは突然腕をつかまれ壁に押さえつけられた。目の前には銀髪にオッドアイの男が自分を覗き込んでいる。
「あんなすごいカルメン始めてみたよ。感動した。君、名前は?俺は」
「銀のマタドールカカシ。スペインであんたを知らない者はいない。俺はサスケ。」
「俺って有名なのね。サスケ、いい名だ。」
カカシは、黒髪に差された赤いバラを手に取り、口付けてサスケに渡し、耳元に囁いた。
「サスケ、お前を一目見たときから俺は恋の虜だ。」
「カカシ・・・」
二人の指が重なったとき、赤いバラは鋭いナイフに引き裂かれ床に散った。
「カカシ離れろ。サスケは俺がもらう。」
「イタチ!」
目の前にはカカシと人気を二分する花形マタドール・黒のイタチが立っていた。

場外乱闘になだれ込もうとしたが、二人とも名のあるマタドール・デ・トロイ。サスケをめぐる決着は豊穣を祝う闘牛フェステバルで付ける事になった。祭りのために特別に気の荒い牛を調教するので、毎年流血は避けられないが、それゆえに異様な興奮につつまれスペイン人にとっては聖なる祭りだ。

サスケはその日、舞台にいた。カカシの傷つく姿はとても見ていられない。なによりカカシが自分のために戦うのなら、自分はカカシのために踊りたかった。その愛を胸に抱いて。
サスケはギターの音に導かれ、血の迸るままに身を任せた。

イタチには勝ったが、牛の角で引き裂かれた傷はカカシのマタドール生命を奪った。
彼について一人の踊り子が町を去った。二人の行方は様としてしれぬが、その日あの闘牛士の勇姿を灼熱のカルメンを見たものは、二人を消して忘れなかった。二人は伝説となった。
























words by マリリンokaさま
imaged by Sさま








記念すべき一号めの参加者さまはマリリンさまでした。
指先にまでほとばしる愛という名の炎…!
赤と黒ほどサスケにイタチにカカシににあう色があるでしょうか。
そのすばらしき挿画を描いてくださったのはSさまです。
ひるがえる緋色に凛とした眼差し!
ご参加ありがとうございました。

ROSSO

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