触れ合ってから知る、世の中なんと多いこと。
視線ひとつ、指先ひとつ、細胞ぜんぶ食べるような。











 果物ナイフ

    











『捕獲成功だ』
「よし、帰還」

無愛想な返事もなくブツ、ときれた。もう意味をなさないトランシーバーにむなしく耳を押し当てていたカカシはため息をついて、腰掛けていた木から飛び降りる。

最近サスケに避けられている。
原因?原因はよく分かっている。カカシにしてみれば苦笑するしかない、十四年もあればどうにかなってしまう、そんな類のものだ。だけど御年十二のサスケにとっては重大、時計の螺子は早回しできるが、時間はままならないのも世の常識。十四年分、まわすのだって一苦労だ。

じゃあどうしよう、と思うのだ。

あまり気は長くない方だと思う。のんべんだらりとしているが、やる気さえ出せば、行動は早い方だ。気長に十四年分なんて時計の針を回す根気は自慢じゃないが、とてもない。我慢も利かない方だ。やりたい事はやりたいときにやる。ご飯がいちばんおいしいのはお腹が空いてるときに決まっている。

(なんなんだろうねえ、これ)

額当ての結び目を指でいじくりながらカカシはため息をついて、森の入り口に視線を投げた。にぎやかな気配が三つ、森の中から戻ってくるのに笑いそうだ。

いったい自分はこの状況を楽しんでいるのか、焦れているのか。おそらく両方、と今度こそ自嘲に頬をゆがめて、部下を出迎えた。

マダムの猫は今日も命からがら逃げ出しては網に引っかかっている。子供たちもギャアギャアいいながら、だんだん猫の扱いがうまくなってきた。ナルトの腕から暴れて逃げ出しそうになるのを、サスケがむず、と首根っこを捕まえて睨みあっている。トラとかいう名前だった、たしか。

ふと視線があがるのに右目を細めると、あからさまに視線がそらされた。サスケの腕の中で猫が哀れっぽく鳴く。

「……かわいいねえ」

カカシの台詞に、ナルトはサスケに押さえ込まれて、瞳孔を大きくしたままあらぬ方向を見ている猫をどこか憎々しげに見る。

「えー?コイツいい加減、逃げ出しすぎてむかつくってばよ」
「でもあの飼い主よ、ナルト」
「うっ、……そうかも知んないけど。でもさ、でもさ、最近捕まえるのうまくなったってばよ!サクラちゃん!」
「あんたは状況を引っ掻き回すだけでしょ、ね!サスケくん」
「……」
……こんなときだけ困った視線投げられても、先生も困っちゃうんだけど。

「これに入れな。俺が持ってくから」

準備してあったキャリーボックスを手渡しながら、にこりといつもどおり曖昧な笑顔を返すと、すぐにサスケの視線はそれた。耳が赤いのを見てとって、カカシは三人の旋毛辺りに視線を投げた。

だからそういうものを見せられるとうずうずしてしまうのだ。
自分は腹減り時が食い時なのだ。

「ま!今日はこれにて任務終了!」










さいきんカカシがまともに見れなくなった。
原因?原因はよく分かっている。
何日か前、カカシと寝た。無理やりじゃなく、納得ずくだった。

腕の中でじたじたと暴れる猫を無理やりにキャリーボックスに突っ込む。留め金をとめようとしたら、隙間から伸びた爪に引っかかれた。ピリリと手の甲に走った痛みにサスケは眉根を寄せる。

手を口元に持っていって、止める。耳朶のあたりがじわりと熱くなってくるのに舌打ちしそうだ。くそったれ。よけいなことばっか、教えこみやがって。こんなのなんでもない、はずだ。今までだって普通にやってきたことだ。今度こそ怪我を舐めて鉄錆の味に眉を顰めた。

「ごくろうさん」

差し出された手に極力触らないようにして、キャリーボックスを押しつけると回れ右をした。走るのはみっともないからしない。だからできる限り大股で早足に歩きだした。

「サスケ」

右手を捕まれる。振り返らない。振り返れない。

「なんで逃げるの?」
「……はなせ」
「逃げない?」
「逃げてなんかねえ」

カカシは短く一蹴した。

「うそ」

この間からずっとだよ、と言われて、視線を上げた。口布に覆われた場所に影ができていて、笑っているのだと布の上からも見てとれる。視線が其処から上げられない。カカシの眼差しが何処にあるのかが見れない。

布一枚の下がどんな顔をしているのか、見たときのことを思い出して、ますます頭に血が上った。触れ合ってしまったから気づいてしまった。逃げてなんかいない。ただ単に、指先とか、視線とか、日々に転がっている何気ない瞬間に心臓が落ち着かなくて、カカシがいるとどうにかなりそうなだけだ。いまだって、手首の指にぜんぶ捕まってる。

「怪我してるじゃない。お前な、ひっかかれたなら手当てしろ」

余計なお世話だ、と言おうとして、声が出ない。あの日の青なじみみたいな痕は消えたが、皮膚の記憶は消えてなかった。

知らなかったときならいい、知ってしまったからタチが悪いのだ。指先があまり温かくないこと、武器の持ちすぎで鉄の匂いがすること、皮膚が硬いこと、みんな知っている。

「はなせ」
「なんで逃げるの?」
「逃げてねえっつってる」

語尾が震えそうで喉に力を入れないと駄目だった。見透かされる気がする。

触れ合って気づいた、世の中なんて多いこと。何気ない仕草、視線、指先、そんなもの全部が発熱する材料になる。知らないのと知ってることとの違いは、はっきりしすぎている。モノクロがカラーになるような、そんな違い。本質は何も変わっていないのに、感覚へのせまり方があまりに違う。

くっとカカシの喉が鳴った。笑ったのだ。

「あとでお前の部屋行くから、待ってな」

ぱっと右手を放され、振り返ったときにはもう影も形もない。くそ、と吐き捨てた。











「あ、居た」
「……アンタが」

逃げないなんて言質を取ったらサスケが逃げられるはずもない。サスケのアパートの前で笑う、確信犯の暢気な声に、ドアノブを掴んだサスケは玄関先のサンダルを睨む目つきを鋭くした。

「んで何の用だ」
「用がなきゃ駄目か」
「ざけんな」

ドアを閉じようとして、サンダルの先がねじ込まれた。力いっぱい挟みそうになって、思わず手の動きを止めかけた一瞬、あっけにとられる暇もなく、左手が前方に引っ張られる。ドアノブを持った手が引っ張られているのだと悟って、驚いたときにはもう侵入されていた。

「おじゃましまーす」
「おい、アンタ、」
「家庭訪問でいい?」

片手で壁に手をつきサンダルの留め金をもう一方の手で外しながら、上半身をかがめカカシは淡々と言う。ドアを開いたまま立ち尽くすサスケを肩越しに見た。

「書類の渡し忘れ?任務の注意事項?俺はどれでもいいけど、玄関で立ち話もなんでしょ」

お茶ぐらい出してくれる、と自分勝手なことを言う。それでも用がないなら出て行け、という言葉が出ない。サスケが動かないと、カカシは裸足で玄関の石を踏んだ。ぺたり、といつもはしない足音がする。

「ドアも、閉めな」

カカシの影がサスケの体を覆う。思わず俯くとカカシの手がサスケのほうに伸びた。びくりと体が勝手に竦む。

「そんなに意識しないでよ」

苦笑交じりの声に励まされて顔をあげる。顎のあたりで止まりそうになる視界、ゆっくりとカカシが口布を下ろす。背中でドアの閉じる音がして、玄関先が暗くなった。カカシの顔も見えない。

「俺が怖い?」

首を振る。

「じゃあそんなに逃げないでよ」
「逃げてねえ」
「うそ。追い返そうとしたくせに」

カカシの手がゆっくりと伸びて、サスケの髪を撫でた。子供をあやすような仕草だ。目を閉じて感覚を追いかけそうになる自分を必死でサスケはとどめようとする。視線がおちつかなげに足元のあたりを泳いだ。逃げ出せるものなら逃げ出したいが、自分でいった手前どうにもならない。

ふう、とカカシがため息をついた。

「あのね、意識するのは変なことじゃないから」

あの日から初めてまともにカカシの目を見た。カカシは困ったように眉尻を下げ、目を細めて笑っている。

「?」
「やらしいことしちゃったら、やらしくて当たり前だから、だからそんなに避けないで」
「……べつに避けてねえ」
「だって俺おまえに触るのあの日ぶりだよ?」

屈みこんだカカシの腕がサスケをすっぽり抱き込んだ。ふんふん、とにおいを嗅がれて変な気分になる。息を吸うとカカシの匂いがした。自分の家にカカシの匂いがある。なんだかおかしな感じだ。サスケの匂いだ、と言われて、カカシの脛を蹴った。

ぐえ、とうめくのが直に振動として体に響いて、なんだか笑えてくる。くっくっくっ、と押さえ込もうとしたら、まるでカカシのまねみたいな笑い方になって、ますます笑えて来た。

「なに笑ってんの。やらしいなあ」
「エロ教師に言われたくねえ」

指が髪を掻きわけて耳をゆっくりと撫でてくるのを、しっかり感じようと目を閉じる。カカシの息を吸う音、膨らむ胸板、低めの体温を押し当てた頬から布越しに感じる。

「……あー、やっぱ駄目だ。してもいい?」

サスケの髪に鼻を埋めて、カカシがすこし掠れた声を出す。こないだ初めて知った声だ。

「任務中とかさ、お前ぎこちないし、赤くなってるんだもん。だけど触らせてくんないし」

ぼやく様な声だった。サスケは緩慢に瞬きをする。

「アンタでも、意識とかすんのか」
「するよ。当たり前」

サスケの手を握って、いつもどおり笑ったカカシはぺたぺたとフローリングを歩く。じわりとカカシの手が汗をかいているのが分かって、サスケは頬に血が上るのを感じる。カカシは床に転がりっぱなしの巻物を器用に足で寄せて、ベッドの方に歩いていった。サスケに座るよう促して、その前に膝をつく。きっちりしてもいい?と訊かれて、サスケは頷いた。

頬を撫でる指に瞼を下ろすと、目じりに唇の感触。頬、耳、とすべって、下唇をやわく挟まれる。つなぎっぱなしの手を持ち上げられて目を開けば、カカシがサスケの指にキスをするところだった。怪我したところを避けて、丁寧に、何度もキスをする。ちゃんと手当てしな、と言われた。

「手は大事な場所だし、敏感な場所だよ。手のひらも」

組んだ指に僅かに力が入った。手のひらのくぼみを爪で引っかかれる感じがくすぐったくて、サスケは僅かに眉根を寄せる。手のひらから滑ったカカシの爪が振れるか触れないかの距離で手首をよぎった時に小さく息を詰めた。

「手足の末端と、大きな血管が出ているところはみんな弱いね」

神経が集まるから、と腕の裏側、日焼けしていない皮膚をたどった指は肘の内側を撫でてまた手のひらへとおりていく。むず痒く体の奥底でさざめくような何かに、サスケはますます眉根を寄せる。一度でも知った感覚だけに、揺りかえしは強烈だった。

「……っ」
「だからこことか、脇の下。それから脇腹、首筋」

手首を爪がなぞり、耳朶を湿って熱い舌がすくい上げて、今度こそ肩を揺らした。反応しだした戸惑いが黒眼に滲み出したことにカカシは笑って、やわらかな肉に歯を立てた。

「早いよ。緊張してる?」

カカシもベッドに腰掛け、うしろからすっぽり抱き込むようにした。シャツをたくし上げた手のひらが肌の下にある心臓を確かめるように撫でる。胸の小さな突起が、いじくられるうちに痒いようなぴりぴりするような思いもよらない感覚を引き出して、変な声がでそうになるのが嫌だった。手のひらを口で押えると、カカシがその指を舐めあげて、関節に甘噛みをするからまた変になる。

「ぅ、ふ」
「踵とか膝裏にも血管と腱があるから皮膚がうすい」

触るの怖い?

まさか怖いといえるほど殊勝な性格をしていないのは、百も承知の上だ。
濡れた指を滑らせて赤く立ち上がった突起を撫でると、ぬるついた感触に戸惑った顔をする。もの問いたげな黒瞳に口だけで笑い、掌を動かす。黒絹の髪が小さく音を立てるのを間近で聞いた。

「……ァ、あ」

すぐに張り詰めて立ち上がった胸を愛撫する一方、空いた手で何度も脇腹から腰骨まで撫で下ろすうちに、サスケは小さく体をよじった。膝を擦りあわす、トイレを我慢する子供のような幼い仕草に笑うと耳朶がじわじわと赤くなっていった。いつもより早い。

「……ん」

こね回すようにされて、膝の上の体が揺れる。硬いファスナーを押し付けるようにして、指で何度も形をなぞってやれば、だんだん熱をもっていく。きつそうに眉を顰めて、唇を噛む。温かな太ももがカカシの手を挟んだ。サスケの体のどこもかしこも温かく湿った熱をもっている。それでも自分からせがむことも手を伸ばすこともしない。ああ、駄目だ。

「あ……」
「自分でする?俺がする?」

この子相手だと無性にいじめたくなる。ひらひらと放した手を振ってやれば、きれいな目の中にきつい怒りが漂う。それでも熟れた光が混じっているのをカカシは見落とさない。うらみがましげな、媚の色だ。不本意極まりない、という顔をしながら欲張りなのは誰だと思う。今はそんな狡さをおさないと許してあげるけれど。

「どっちがいい?センセイどっちでもいいなあ」
「……っの変態……」
「でももう、これきついだろ」
「……っ」

うすく漂う汗の匂いにカカシは手の平で戒めたまま笑う。揺さぶれば、びくびくと膝が揺れた。どっちがいい、とだめ押しのように産毛の浮かぶ貝殻のような耳に問い掛ければ、まだ肉刺の柔らかい手がためらいがちに動いた。じり、と手をかけ、前をくつろげるものの其処から固まってしまって動かない。ことことと心臓がネズミのものみたいに早い。

「……カシ……」

まるきり弱った声に、今日はこっちが折れることにした。
手を布の下にすべらせ、小さく脈打つ塊を手の中に包み込むと、はあ、と安心するような息を吐くから困った。すでに濡れているのをピンク色の先端になすりつけるようにすると、カカシの肩口に後頭部を押し当て、小さく喉仏の浮いた喉を反らす。秀でた白い額に口づけてやると、サスケは目を閉じて熱い息をこぼした。それでも口元に手を押し当てて、必死にかみ殺している様子に、不埒な決心をする。

(こんど絶対自分でさせよう)
「ン、ぅ―――ッ」

がくん、と力の抜けた体を支えた。ぼうっとしてるのをついでに、足首に丸まったズボンをパンツごと引き抜く。口元を押さえていた両手を外させると、白い瞼がゆっくりと持ち上がり、葡萄粒のように濡れた黒眸が現れる。ほんのり赤い目じりに張り付いた髪の毛を指で払って、向かい合わせに抱きなおし、薄い下唇に吸いついた。

気遣うように横たえられて、頬に瞼に、落ちる柔らかい唇の感触にサスケは三歳児のように安心して目を閉じる。

背中をなでおろす指に背筋が震えた。ぬるりと何かで濡れた指が内股の皮膚がうすいところを引っかくのに体が強ばった。円を描くような思わせぶりな仕草で滑って、淵をなぞる。

「力ぬいて。ゆっくり、息吐いて」

ぐ、と入り込んだ指にでさえ気持ちが悪くなる。痛みはなかったが、自分の内臓の中に明らかに温度の違う異物が入りこむのを、身をもって悟る。さぐるような動きに自分の中身がどんな形をしているのか、節ばった指がどれだけ繊細に動くのかを生々しく突きつけられた。

「…あ、ぁ」

頑なだったはずなのに、呆れるほど丹念に解かれていくうちに、敏い体は感覚を忠実に追いかけて先走った。引き抜かれるときの、排泄に似た感触のもどかしさが芯を炙る。じかに前を手でされるのと違って、ゆるゆると焦らすような熱が体温を上げて、爪先がシーツの上を泳いだ。

「ァ、アッ」

瞼の裏にオレンジ色の火花が散る。そこを指で押されたとたん、とうとう漏れた高い声が信じられなかった。足が引き攣る。背中が撓った。なんども体が震えた。触れられもしないのにいつのまにかはじけて、ぴしゃっと水たまりを踏むような小さな音を立て、シーツにぼたぼたと落ちた。

落ち着かない呼吸をしながら、天井を見るサスケは呆然としていた。居たたまれないどころの話じゃなかった。もう自分はぜったいにおかしい。へんだ。ぎゅっと瞑った目の底がじわりと熱くなって、鼻の奥がつんとした。

「サスケ」
「……」

カカシのかすれた声から逃げるように枕に顔を埋めた。もういちど名前を呼ばれるのに首を振る。

「オレ、おかしい。こんなん、……ぜってー変だ」

枕に半分以上吸い込まれてくぐもった声は、尻すぼみで小さくなる。カカシは何も言わない。きっと呆れているのだ。気を緩めると泣きそうになって唇をかんだところで、脇の下に手を入れられて抱き上げられた。膝の上に抱きこまれても、カカシに泣きそうな顔を見せたくなくてサスケはむき出しの自分の肩口に鼻面をうめる。

「サスケ、顔あげて」
「……」
「顔みせて、サスケ」

名前を呼ぶ響きに呆れた色はなくて、むしろ嬉しそうだった。
…………うれしそう?
頭を撫でられるのに、顔をあげる。カカシはやっとこっち見た、と目を眇めて笑った。目じりに皺がよる。

「おかしくないよ、ただ単に慣れてきただけだから」

涙の気配が一気に頭の後ろに引っ込んだ。かわりに髪の毛がぶわっと一瞬さかだつ錯覚がするぐらい、こめかみのあたりに血が上って、ゆるい、どころかゆるいを通り越して形容しがたい顔で笑っているカカシの頭をおもわず殴った。痛い、とぼやいて、それでもカカシは笑っている。

「言っただろ、一回目より二回目、二回目より三回目、だんだんよくなるって」

まさか後ろだけでいっちゃうと思わなかったんだが、のくだりも嬉しそうとしか形容できなくて、サスケは頭の中がぐるぐるしてくる。続くすごいうれしい、のセリフが鼓膜を叩くにあたって、こいつは掛け値なしのエロ魔人だとようやく認識した。

すごいうれしそうな顔。冗談じゃない。

呆然としている隙に、膝裏のうすい皮膚から内股を、肉刺のある手のひらが乱暴になで上げられ、ただそれだけに足がぴくぴく引きつった。

「ね?だんだん」

喉をそらすとざらついた舌に舐められて、また変な声が出そうになった。押さえ込むと、くっと喉が鳴る。ぬるんだ場所をぬくぬくとかき回されて、また頭の後ろがちかちかした。背中が震えてどうしようもない。

カカシが触ると自分は変になる。体が先に答えを出すようになる。

「あ、あ、……アッ」

もうできない、と首を振るのにカカシは笑う。下手くそな嘘はきらいじゃない。

「ほら、足開いて、もっとよく見せて」

俺も気持ちよくなりたい、というとぎゅっと唇を噛んだ。困ったような顔をする。
気持ちいい顔をしてくれるとうれしい。欲張りになってほしい。もっと恥ずかしいことをいっぱいしたい。白昼堂々、目があったら赤面するぐらい誰にも言えないぐらい散々したい。もし任務中に勃っちゃっても、大丈夫。ちゃんと責任とってやる。

せがむ声に、カカシはうっとりと目を閉じた。
















「果物ナイフ」/カカシサスケ






二度目。エロいのはタイトルだけですね。
意味なく長くてすみません。
ランチタイムと同じ先生かなあ。





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