LOVELIFE3

















脇からくぐらせた手で顎をつかみ、口付けると苦しそうに眉をよせる。深く口付けられないのに焦れてサスケがカカシの頭に腕をまわせてひきよせた。

「は、ぁ……ッ」

向かい合う形になってまた噛み付くように唇を重ねる。
左脇のしたから腰半ばまではしるファスナーからさしこんだ右手で汗ばんだ背中から腰、さらに手をすべらせると臀に緊張がはしるのがわかる。ぐぐっと腰をひきよせてお互いの熱を押し付けあうと、重ねたままの唇がわななき、近すぎてぼやけた視界の中、サスケが瞼をふるわせるのが見えた。

(ここまでなっちゃうとは思わなかったんだけど……)

どうしよう、と思い熱っぽい息をひとつ吐いたカカシはサスケの後ろにまわした指を幾度かまろみの間にすべらせる。そのたび、きゅうっと力が入れるのが指先でわかって、煽られてしまう。

「ぅ……っ」

壁と自分の間、見下ろしたサスケの膝がちいさく笑ってるのが見えて、あきらめたカカシは貝殻のような耳朶を唇でやわく食んだ。

「脱がせるからもっかいあっちむいて」
「……ッ」
「やっぱ片手だけだとこの服やりにくいし、俺だってがまんできないもん、ね?」
「……ぅ、くっ」

抗議しようとした口がすぐ閉じられたのはかるく差し込まれた指のせいだ。

「サスケ」

両袖と首をぬいてつなぎをひき下ろせば青い宵闇のなかで汗粒をまつわらせた白い背中がうかびあがった。のけぞると羽の名残のようにでっぱる肩甲骨と肋骨のライン、成長をきざした骨のとがりがみえる体は抱きこんでしまえばよほどおさなく、皮膚もやわらかくて、じわりと湧きだす罪悪感にも慣れてしまった。伸縮する素材のせいで、つるりと剥けたようになった背中を見下ろし、足のあいだから手をさしこむ。もうぬるぬるになった前をかわいがると、ちいさくうめいてサスケは壁を白くよごした。

力がぬけている間に体温でぬるめた膏薬をつけた指で、咲きかけた花の蕾をむりやりひらかせるようほぐしていく。うつむく首筋に、背中にキスをしながらなるべく焦らないよう傷つけないようほどいていく。

「ぅー……」

深爪ぎみのみじかい爪が壁をひっかいて、手の甲に筋がういている。

「ぅ……ぁっ」

はやく、と急かされるが甘い意味じゃないのもしっている。はやく終わらせろ、のはやくなのだ、サスケの催促は。はじめて体をつなげられるようになるまで、何日も何日も指や他のものでされたせいなのか、指で慣らす以上に長々とされるのは好きじゃないらしい。サスケの体はサスケが望むよりよほどはしたない。

(指でもいけるくせにね)

一定のリズムでかわる圧迫を楽しみながら中指でそろりとしこりを撫でると、きゅんときつくなった。思わず笑うとサスケが斜めに睨みつけてくるが、ちっとも怖くない。

「いいとき締めてんのわかる?」
「〜〜ッ」
「わ、すご」

 声にならない悲鳴にカカシは笑って、しろい背中にぴたりと隙間なく張りつき、骨のでっぱった首筋に額をおしあてた。焦らすのは好きだ。あんたが欲しいと好きだといわれてるみたいで、無口なだけいい気分になる。でも自分も焦れてしまって、もうがまんがきかない。

ぐっと押し広げてすこし沈めるようにすれば、むかえいれるよう開くのがわかって、喉がびりびりする渇きにカカシはうすく唇をなめる。

「もう、いれてもいい?」

サスケの小動物みたいにしめってあたたかい手がカカシの腕をつかみ、サスケが犬か猫の子供のよう、額をぐりぐりおしつけてきた。こんな子供に、という声はいつだってする。まちがったかもとも何度だって思う。

(でもおまえがこんなことできるようになるまで、待ってたんだよ)

左足をうしろから抱えあげ、こわばった肩口の日焼け痕や傷痕ひとつひとつキスをしながら、息を吐くのにあわせてじわじわ沈めていく。ぴたりと胸があわさったときにはお互い安心したような息を吐いてしまう。いくらしても最初の緊張はとけない。とけなくいい、慣れたくないし慣れてほしくない。けれど確かにサスケの体はカカシを覚えていっているのがうれしい。

(ぜんぶ俺だよ)

あつくとろけていて、ずっと目をつぶってじっとしていたい。

「……カカシ」

小さく息を詰めながら肩を揺らしている。喘ぐよう、何度か躊躇った唇からほそく声がもれた。

「う、うごい……てくれ」

噛みしめた唇のすきまから、がまんできねえよ、と掠れた声がとぎれとぎれ甘く揺れる。すこし鼻をならしてサスケの頬におしあて、形のいい耳を舌でなぞる。ちいさく声をあげぶるっと背中を震わせたサスケは自分の前をきつく押さえてこらえているらしい。それでも指のあいだからとろとろこぼれ、股を伝い、汗でうるんだ右の膝裏をとおりすぎて、かろうじて脹脛半ばにひっかかったつなぎをよごしていく。

「カカシっ……」

体を捩った瞬間、サスケがきつく目を閉じて堪える顔をする。我慢がきかなくなったのか、壁についた手に頬をおしあてたサスケがゆるやかに動きだした。

「んっ、ぅ」

きつく熱くこすられる感覚はカカシにもダイレクトに通じて、カカシも呼吸を早くする。

「ぁ――……ン」
「息はいて、ゆるめて」
「んッ」

きつく押さえたままの手を上から包み、サスケの呼吸にあわせてカカシが動きだす。
くちゅ、とサスケの手ごと動かせば、黒髪がぱさぱさと揺れた。

「は」

最初にしたとき、こんなことありえねえ、と呟いていた。
だが今やすっかりカカシの思うつぼだ。息をはかせて深々とおしいり、息を吸わせてひけば絡むよう食んでいくのがわかる。前をいじられると後ろをしめつけるといいのもカカシが教えこんだ。

(ろくなこと教えてないけど)

もどかしいほどゆっくり、形がわかるほど長い間うけいれさせて揺さぶる。頭の後ろ側が赤く染まるような気がして、背中から腕から足から汗みずくになって、声なんかおさえようがなくなるまでにする。腕にうずめてしまって顔をみせてくれないのがつまらない。聞こえる声もくぐもったうわ言めいてカカシの名前もろくろく言えていなくて喜んでいいのかだめなのかわからない。たまらなくてサスケ、と低く呼ぶ。

「あぅっ」

膝を引き攣らせてカカシの手を汚したのに、カカシはすこし驚いて右目を瞬かせた。 ずる、と落ちそうになる体をささえて、運動ですっかりあがった息を落ち着かせていく。情けないことにすぐにばててしまう。明日、任務で走ることになったら足ががくがくするだろうなともおもう。

「サスケ」

いつかより視線が近くなった、サンダルが小さくなった、声がひくくなった、骨が太くなった、腕相撲がながびくようになった、些細なことがうれしいのか嬉しくないのか、わからない。

話を簡単にしたいなら、最初から手を伸ばさなければよかっただけで、後悔もなかっただろうし罪悪感もなかっただろう。仮定はいつだって自由だ。

「もうちょっとがんばれる?」

自慢じゃないがサスケの言い分を聞いてやったためしはない。
でもわがままが言えるようになった。
わがままを許してくれるのも知った。

(俺はいつまでお前らに背中をみせてやれるのかね)

腕の中で嫌がるように身じろぐからそろそろ体の向きをかえると、眼帯でかくされていながら、左頬まではしる傷を熱い指先がなでた。涙をまつわらせた睫でけぶる目尻が赤い。そのくせ人の顔をまじまじと見つめて、アンタえろい顔をしてる、と呟き下からキスをしてくるのが、生意気でかっこいいなあと思う。

自分の背中に遠からず足跡が三つついてしまうのかもしれない。けれど、腕の中にいてくれるからいいとも思う。

「もうちょっと」

後悔だってうれしい。
だからすこしどうしていいか、わからない































「LOVELIFE3」/カカシサスケ




うちのサスケ君はカカシ先生にメロメロなんです実は。
あの左ファスナーつなぎってエロいという妄想文でした。
同意するかたはどうぞ握手(がしり)!










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