したこともない約束の明日
好きだけでおなか一杯になれないかな















Romantic Love Ideology
LOVELIFE5
















玄関が恐る恐る開けられる気配、雨と土の入りまじった外のにおいに手を伸ばすと、起きてたのかよと不機嫌そうな声が返る。悪いがまだまだ追いつかせてはやらない。薄く笑って冷えて湿った髪の毛をひっぱるとますます不機嫌になったらしい、キスをよけられて寝ろよと八つ当たり気味な声が投げられたのに、カカシは寝返りを打った。

「遅かったね」
「しょうがねえだろ。酔っ払いの後始末おしつけやがって」
「…拗ねてるの」

問いかけでなく決め付けで笑って言う男がにくたらしいのに伏せた睫は夜明りを受けてまるで粉砂糖でも振りかけたように見えて、通った鼻筋に甘く歯を立てた。顎をつかまれて頤から耳のあたりまで、かさついて湿った唇がかすっていく。明日剃ってやろうと思う。

「サクラとかに襲われたりしなかった?」
「……ねえよ」
「ちょ、なによその間」

アンダーを捲り上げたカカシが呆れたように目を細める。伸ばした手で髪の毛を掴んで引き寄せて、顎をもちあげて唇を舐めると、短いため息がしてカカシが口をあけてくる。さしこんだ舌を吸いあげられて目を瞑ると、カカシがすこし体を倒してきた。冷たい床に頭をぶつけても気にしない。

舌先を甘噛みされるのがサスケは好きらしい。腰のあたりを撫でていた手を下に滑らせて、尻の丸みをもみこむようにすると唇がわななきはなれる。細くはった糸がきれてしまう前にすこし眉を怒らせて思い出したように仕掛けてくる。忘れてないのはいい。間にいれた膝で押しあげるように曖昧な刺激を与えながらキスを舌の付け根がおかしくなるぐらいすると、髪の毛を掴んだ指から力が抜けそうになっている。はやいよ、と笑いそうになった。

「…寒い」
「酔いが醒めてきたんじゃないの」

二の腕が鳥肌だっている。
唇もそういえばすこし冷たいし、肩をつかむ指も冷えている。布団を被っていても身動きしていると間から空気がはいってくるのはしょうがなかった。

「どれぐらい飲んだの」
「そんなに…」
「でサクラ送ってってあげたの」

尋ねるとすこし黙って、いっちょまえにアルコールくさいキスで誤魔化そうとしてくる。

「サクラに食われちゃわないでね」
「…あんたがいうのか」
「言うよー。勝ち目ないもん」

笑うと融けてた目が冷たい黒ガラスのように固まってしまっていた。

「……ごめん」

ちゃんとしよう、といって責められてるわけでもないのに誤魔化してしまう。けれどサスケが黙って許してくれるのにカカシはもう一度声には出さずゴメンと呟いた。









「―――ぁ、あ」

ベッドヘッドをつかんでぶるぶる震えているサスケの二の腕の内側を舐めていく。脇の下、やわらかいふわふわしたところに鼻ををうめて汗の匂いをかぎながら舌を這わせると息を飲むのが分かった。こっちも下着がすこし濡れてるのがわかる。よせ、と抗議してくるのを黙殺してとがりきった乳首を両手でつぶすようにしながらもう一度舌を這わせれば、サスケの肢がカカシの胴を強くはさんだ。

「…っ、ん」

親指の腹でつぶしながらほとんど下は動かさずにキスだけをしていると、それだけでサスケの息が跳ねていく。最初はくすぐったいとか嫌がっていただけなのに今はどうだ。ミルクを欲しがる子どもみたいにカカシの唇を求める舌が合わせて震えている。

「や……め」
「ここだけでいけるんじゃないの」

無理に人差し指と親指でつかまえて舌を近づける。舐めてから軽く吸いあげるとカカシの下腹に押されていたサスケがぴくんと跳ねるのがわかった。すいつくような肌を手の平でたどって下着のゴムをくぐり下腹をたどる。肌を重ねるたびにちゃんとしてくる湿った下生えのざらついたところをじらすように撫でると、手の甲にぬるついた感触がして、おもわずカカシの呼吸もはねてくる。唾液でぬれて赤くなった乳首にかるく歯を押し当てると、熱い雫が指の股をつたった。

くたりとしたままなのにぐにぐにと揉み続けていると、サスケの呼吸が荒くなってきて手の中でだんだん熱くなる。けれど半ばたちあがるだけで、早々にあきらめて後ろだけをかき回すとうなだれたまま、とろりとこぼしだしているのがおもしろかった。卵白のように糸をひいておちていくのを親指でかき回してからゆっくりと後ろにもぐりこませていく。

「ぅ、う」
(なんか変な感じ…)
「ふッ」
(サスケも酔っ払っちゃうとだめになっちゃうんだ)

できるからまあ俺はいいけど、とすこしにたつきながらうっすらと汗で光る肋骨のくぼみに舌を這わせると思いのほか高い声があがる。いいの、と尋ねれば叱るように髪の毛をひっぱられてカカシはどうしても喉で笑ってしまう。サスケの体はサスケがおもうよりずっと気持ちのいいことにだらしがないのだ。

引きはがそうともがいていた手はもう今ではカカシの頭に添えられているだけ、どうかするとのけぞるサスケの胸に押し付けられるような格好にもなるのに、力が抜けて落ちそうになる。それが厭で掴むと答えるように握り返された。

耳元の息遣いにまぎれそうな小ささ、震えた声で名前を呼ばれる。口元に耳を寄せるとしがみつかれた。

「うん」

額に瞼に頬にキスをされてカカシがくすぐったいと笑うとはぐらかされたと思ったのか不貞腐れた唇が噛み付くようにキスをしてくる。

(はぐらかしてなんかないよ、なんだか笑うしかないだけ)
(おまえとこうなるなんて想像もつかないことばかりが現実になるから、どうしていいかわからないだけ)







聞き逃してしまいそうなほど小さい、泣いてるみたいに掠れた声で好きだなんて言われてから、ごめんと思う。お互いの睫が睫をくすぐった。

(好きだって気持ちだけでおなか一杯になれないかな)



十年後二十年後なんてとても口になんて出していえない。
今だけで息継ぎもままならなくて窒息してしまいそうなのに、もう一度と願えば名前しかいえなかった。



















「Romantic Love Ideology」/カカシサスケ






またエロの波が来たようです(…)
お互い弱虫くさいところが好きです。
ちなみにロマンチックラブイデオロギーの
ほんとの意味は
こんなんじゃないですよ…!











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