カカシ先生は自分では認めたがらないロマンチストだったけれど、師匠は掛け値なしのロマンチストで自覚があるくせに斜にかまえて笑うみたいなたちの悪いところがあった。お酒にだらしなく女の人にだらしなく、いらないいざこざを拾っては忍術で煙に巻いたり酔っ払いすぎて巻けなかったりしてどうしようもない、だけど許さずにはいられないような愛嬌があるから世の中意味がわからない。 あちこちつれまわされたころ驚いたのは師匠が自慢でも誇張でもなく本気でもてたことだった。行く先々の飲み屋やちょっとエッチなお店の女の人は師匠のことが大好きで、驚いたことに金があろうがなかろうがあまり関係がなかった。中には商売気なしの本気をちらつかせる人もいた。オレはそうやって世の中のある種の女の人はけして自分を幸せにしてくれない奴を好きになるってことを知った。そういう奴はたいがい師匠と同じでやさしいがだらしなく、どこかいたいけなのだ。 オレはそんな師匠の弟子でロマンチストだったが女の子にはからきしもてた記憶がない。もてるだけが男の価値じゃないとは、自分よりもてる奴に言われてももてない奴に言われても、つまり誰にいわれてもむかつく言葉だが、他の要素が同レベルならもてたほうがよりよさそうな気がする。否定できるのは正真正銘もてる奴だけだ。 そんなわけでオレはもてない、そこそこのロマンチストだった。 だからオレにはロマンがあった。 恋人とはじめてすごす一夜はそれは甘くそれはロマンチック。 なんて夢は夢だった。 「……」 ぐしゃついたシーツに起き上がり冷たい床に裸足をおろすとぞわぞわ鳥肌が立つ。床にほうりなげっぱなしになっていたパーカーとスウェットに首と足をつっこんでから、背中を向けているサスケの肩に手を伸ばしてゆすぶった。 「…サスケ、おい、起きろよ!おまえ今日シフトはいってんだろ!」 「……るせえ」 低血圧で機嫌は最悪、いつもより五割ぐらい目つきが悪い。いま何時だ、と尋ねるのに七時半と返してやるとサスケは再びオレのベッドに倒れこんで毛布にもぐりこんだ。 「ざけんなウスラトンカチ」 「んだと!」 「十五時だ、シフト……」 「……わり!」 とりあえず謝るとオレは出勤準備を始める。オレも十二時からだから余裕がある。テーブルの上にひっくりかえってるビールの缶を捨て、トースターにパンをとりあえず二枚つっこんで、薬缶を火にかけた。その間に顔を洗いにいく。お湯の蛇口をひねって出てきた水が熱くなる前に洗い終わって台所にかけもどり、とりあえずティーバッグで紅茶なんて入れてみた。一度、紅茶の葉っぱをもらったことがあるのだけど煎茶と同じ淹れ方をしたら苦いだけでうまくなかったのでもっぱらこっちで、しかもこれが最後、ちょうどいい。紅茶なんて客がいるときぐらいしか出さないのだ。 飛び出したトーストをとりあえず皿にのっけ、当然一枚なんかで腹いっぱいになれないから次のトーストをセットする。低血圧の奴なんてほっといてマーガリンとイチゴジャムを塗ってかぶりついてるとサスケがもそもそと歩いてきた。すこしだけ昨日の酒が残ってるせいか顔がむくんでいる。 「ん」 皿を寄せてやるとサスケはなにもつけないトーストにかじりついた。まずそうにもしもし歯を動かしている。見かねて紅茶をいれたマグカップを寄せてやると、口をつけまたまずそうにトーストをかじった。オレはやっぱり紅茶があんまり飲みなれず、顔をしかめたまま湯のみの紅茶に牛乳と砂糖をぶちこんでトーストと一緒にのみこむ。 会話はまったくない。 そもそもサスケとオレはあまり話さないのだ。オレはなんでかサスケの前にでると、全然ふつうのことがしゃべれなくなる。しゃべったところでサスケの応えはオレをいらだたせるものだったり、つまんないことでマッチの火みたいにあっというまに沈黙が落ちるのだ。まともにしゃべる、というか言葉を交わすのはケンカのときか修行のときだけだった。 だからといって居心地が悪いかといえばそうでもない。どっちかっていえば好きだ。いやどっちかじゃない。 オレはサスケと恋人なのだ。ちゃんと好きなのだ。 だけどいまは気詰まりだった。 昨日、オレたちの初夜(っていうのもなんだか寒々しい気がするのはなんでだ)が見事失敗に終わったからだ。原因は実に単純だ。愛があればノーボーダーなんていう奴はちょっとオレの前で正座して聞かせて欲しい。 だってなんだ、オレたちは両方りっぱに男なんだ。つくもんがついてるし、穴がない。いや、穴はあるんだけどその穴は非常事態のための穴、おいそれとのぞいちゃいけない穴だ、危険な穴だ。だけどオレはサスケなら平気なのだ、だってちゃんと恥ずかしながらオレは右手のお友達にサスケをできる。でもそれはサスケも同じだったらしい。つまり両方、相手の穴は考えていたが自分の穴のことは考えてなかった。 さすがは危険な穴だ。 夕べ、酔っ払った口のなかはむちゃくちゃ温かくて、サスケの指が髪の毛をひっかけても関係ないぐらい気持ちよかった。任務上がりにメシくってちょっと酒を飲んで、オレの部屋に来てちょっと飲みなおして気分がよくなったらキスなんて多分恋人なら当然だろう。本当にスムーズだったのだ。 正直、サスケの見たとき萎えるんじゃないかって思ったけどそんなこともなかった。どころか、正直に発情をつたえる場所は無条件にやらしくて、興奮しただけであとは坂道を転がり落ちるように勢いまかせ。 そんで、一回、お互いの手で抜きっこしたあと、狭いベッドに向かい合わせで横向きに倒れこむ。そしたらシャツをまくりあげられてケツをもまれてオレはびっくりした。こうぐるりっと手のひらで撫でられてから、ガシッと。いやいやいや待て待てまあ待てサスケちょっと待て。こんなすごいの胸も尻もババンとした女スパイがお色気で任務をこなす脳みそがちっともいらない映画でしか見たことない。こうキスが最初ッからベロはいってますね、顎つかれませんかみたいなアレな感じ。 こうムードとか、って思う前にサスケの顔が目の前で、ちょっと汗ばんだ肌がひっついてきて下唇を噛まれる。日向と土っぽいサスケのにおいがして興奮して、オレも手を伸ばして、サスケの腰あたりを撫でた。そうするとサスケの息が耳辺りにかかって、それだけでまた下腹のあたりがぞわぞわした、のを見透かすようにサスケの手が動いてまたオレのケツを触る。 「…くすぐってえってば」 「黙れよ」 掠れた声が思いの外やらしくてオレもサスケの腰をなでてた手をそうっとなぞりあげる。唇をすこし噛んだサスケがオレの手首をつかんだ。 「おまえ、手、さっきから邪魔」 「だってよー」 「つか、大人しくしてろ」 「なんで?やっぱオレが」 ここで視線があった。 まさに以心伝心、異口同音。 『まさかお前オレに入れるつもりか』 そのまさかのまさかだった。 話し合いは難航した。あげく最後はガキのケンカだった。ほんとに。 「……うんこおれ細いからヤダってばよ!」 「……」 「ってーな、ぶつなよ!人でなし!」 「うるせえ、だったら死ね」 がん、と蹴りころがされたが腐っても忍者をやって数年だ。とっさに受身をとってころころとマット運動のように廊下を後ろに転がっていく。二回転したところでぐっと腕を突っ張って倒立の要領で起き上がろうとすれば、だだだっと駆け寄ったサスケの足が玄関のマットレスを踏みつけるのが見えた。 「げ」 床が動いた、のではなく、手をついていたマットレスがサスケの足に引っ張られれて前方に動いた。倒立をしようとしていた姿勢で前に動かされれば当然。 「げ!」 両手を慌てて突っ張り、背筋に力を入れて弓なりに体を反らしたものの、到底支えきれるものではない。ブリッジで逃げようとぐらりと前方によろめいたのに、腕をすかさず払われれば、たやすくチェックメイトだ。 「げげ!」 職業病で受身をとるため丸めた体、剥き出しになった襟足をむんずと引っつかまれたかと思えば、いきなり冷えた外の空気の匂いがした。ごろりんと無造作にころがされて、サンダルを背中で踏み潰す感覚と段差にぶつかる痛みの中、トタン屋根の向こうにある星が流れて、見慣れた蛍光灯のうすぐらい明かりに入れ替わる。狭いアパートの外廊下、サッシに後頭部を思い切りぶつけて目の前に星が飛びちった。 「ぃ……ってぇえ!」 ガチャン、と錠が下ろされる音に続いて、チェーンロックをしめる音。おりしも木枯らしが吹き抜けてタンクトップの裾がばたばたとなる。 ガチャリ、とあいたドアに目を輝かせるのもつかの間、サス、と呼びかけた顔めがけて丸まったオレンジ色のジャケットとサンダルが投げつけられ、夢はシャボン玉よりはかなく破れた。 「……」 どこかで犬の遠吠えが聞こえた。 ちょっとばかし涙がでた。 でもオレは転んでもただでは起きないのだ。 「――――つか、ここはオレの家だっつーの!オイこらサスケェ!」 大声で騒いだのに、サスケは近所の方に大変だからな、とドアをあけた。 ベッドはひとつしかなかったけど、一緒にねてもやらしいことしようなんて気持ちにはとてもなれなくって、そのままお互い寝たのだ。 でも嫌いなんじゃないんだぞっていう証拠みたいに、熟睡するまでなんでかお互いの手は握りしめてた。オレはそれにほっとしてたし、サスケもそうなんだって信じたい。 ぐるぐる考えてるとわかんなくなってきて、頭をがしがしとかき回す。二枚目のトーストの一口を飲み込んだときだった。 「やっぱやめるか」 「は?」 「だって面倒だろ」 「は?なにいってんだよ」 わけがわからない顔をするオレに、サスケはすこしシニカルにちょっとやな唇のもちあげ方をした。 「平行線だろうが」 できないだろう、と言う様なサスケの顔にむっとしてオレは唇を尖らせる。 「そりゃ…、でも」 「でもできねえだろ」 かぶさるように言われてオレは血管がちょっとぷつっとイきかけたのを感じる。 「できねーっつたら終わりじゃんか!なんでおまえいっつもオレが、オレが好きじゃないみたいな言い方すんだよ!」 「言ってねえよ」 「言ってんだろ!」 何回、好きって言っても、友達って気持ちもあるけどちゃんと違う気持ちもあるんだっていっても、サスケの眼はいつもオレを疑ってる。基本が根暗だ、こいつ。 「じゃあなんですぐやめるとか言うんだよ!」 「……」 「どっちが上とか下とか、気にするほどのことじゃねえだろ!」 「じゃあできんのかよ」 ぐっと詰まったが、睨み返した。 「論点、ちがうじゃんか。なんでできるできないがすぐそうなんだよ」 「オレにとったら一緒だ」 間もおかずに返されて詰まる。なんだってこいつはいつもバカみたいに潔いんだろう。ぐるぐる持ち上がってくる感情が出せなくって、にらみつけた。 「それっきゃねえのかよ」 「どういう意味だよ」 「1かゼロかってことかよ」 「そうだな」 それしかない、と言われて、オレはもう言うしかないのか、とぎゅっと眼を瞑った。 ほんとは言いたくない。秘密にしてたい。とくにサスケなんて真っ平ごめんだ。だけど言わないと駄目っていうならもう言うしかなかった。 オレがやなのは、と前置きをする。 「オレは」 どんとテーブルをたたいた拍子にグラスのそこがちょっと浮き上がった。多分オレはおでこまで赤いに違いない。息を吸って、サスケをぎろりと睨む。 「童貞なんだってばよ」 「………………そうか」 なんだよなんだよなんだよアホ!きくんじゃなかったみたいな生ぬるいかわいそうな目でオレをみんなバカ!ボケ!カス!ハゲ! くっそう、男のコケンにかかわるなんて恥ずかしいことを言わせるんだこいつは。 でもオレの体はあのエロ仙人につれてかれたというのに、ほんとにタンポポみたいに清らかなのだ。夜の蝶のお姉さんたちは色々おしえてくれたけど、オレは純潔をきっちりしっかり守ってきたんだ。 ホモになっちゃったのはまあサスケが好きだからしょうがない、でも童貞なのにオカマ掘られちゃうなんて、女の子の生乳も生尻もお股ちゃんもじかにさわったこともないのにホモで童貞で処女喪失なんて三重苦、不幸とか悲劇以外のなんだっていうんだ。 そりゃ愛があればケツも平気だろう。愛はある、ほんとにある。ちゃんとオレのケツバージンは男らしくサスケにくれてやろうじゃないか。どうせ十二歳のときにカカシ先生に思いっきりカンチョーされちまってるのだ、まあちょっとすごいカンチョーぐらいへのかっぱだ。 でも、でも正真正銘サスケとする最初は、なんていうかちゃんとケツじゃなくて正攻法?がいいのだ。ちゃんとサスケとしたいのだ。ケツなんかじゃなくて、男の子として、なんていうんだ、新たな門出?っていうのか出発は、女の子のふわふわのあんまんみたいなおっぱいとかお尻とかモザイクの向こう側でもなく、サスケがいい。 がしっとサスケの両手を握りしめる。なんていえば伝わるんだろう。オレの大事な大事なはじめてはなにが何でも、一番にサスケがいいんだ。 「だからオレは……」 いつもオレは自分に似た奴を見つけると好きになったし、信じた。オレの腹のなかにはバケギツネの顔をした腹ぺこのオレがいて、ずっとずっと欲しいっていってる。オレに似た嫌われ者で一人ぼっちで寂しがりの中に見えるオレのことを好きになって信じてやると、腹ぺこのオレの声がちょっと止むからだ。 だって、そうやってそいつの中にいる餓鬼のオレはみんなに好きになって欲しくて信じて欲しいって思う心だからだ。オレは誰よりも誰かに好きになって欲しいから好きになって、信じて欲しいから信じた。じゃないとなんもかんも嫌いになりそうだからだ。そんな人生、つまんないしなんか厭だ。だから誰よりも好きになりたいし、信じたい。 だからオレはオレのことをほんとに好きでいてくれて、それでオレがほんとに好きな子としたいんだ。 長いかも短いかもしれない人生の中で出遭ううち、どれだけの人を好きになることができるだろう?好きになってもらえるだろう?その誰かの幸いのため御伽噺の蠍みたいに何べん心臓を燃やしたってかまやしない、そんな。思いっきりぎゅっと抱きしめて好きだよって、心底好きって言って欲しい時にいってもらわらないと死んじゃいそうな時に好きだよっていってあげたいんだ。 だってオレがそういって欲しいからだ。 「オレの、ほんとのはじめてはお前がいいんだってば」 だってお前が好きだから、とつづけて目を閉じて、握りしめたサスケのちょっと冷たい手に顔をぐりぐり押し付けた。ぎゅうっと思いっきりサスケの両手を握ってると、心臓が手のひらに動いたみたいにどくどくいって熱くなってくる。 「好きだから、だから、おまえじゃねえとオレ、しねえもん。絶対やんねえ」 言ってる言葉のばかみたいな子供っぽさに泣きそうになる。こんなときバカって損だなって思う。言葉はいつだって気持ちよりはるかに小さいか大きいかで大事なことほど言葉の外側にある。 結局オレは、こんだけ考えても単にサスケにオレのこと好きかってききたいだけだった。ケツの穴だってだけで笑い出しそうに滑稽だけど、でも本気で、真摯に思ってた。でも好きかなんて訊けなくって、こんなまだるっこしいことをしてる。サスケの顔もみれてない、オレはちょっと臆病だ。 もういい、とサスケが呟いたのはずいぶん長い沈黙のあとだった。 びっくりして顔をあげると、サスケはオレが握りっぱなしにしている自分の手をどこかぼんやりしてた眼差しで見ていた。もういい、ってなにがもういいんだろう?オレの頑固に呆れたか。愛想つかされたんだろうか。サスケの手はいつのまにかちょっと温かくなっていて、放したくなくってぎゅっと握った。この手がまた自分の手からすり抜けるなんて厭だ。 ぎゅっと握ると痛かったのかサスケは驚いた猫みたいな顔をした。厭なのかって思って放すと形のいい眉を顰めて、オレの手をちょっと握った。それで、「なんだっていい」と独り言みたいにつぶやいた。 「え?」 「おまえならなんだっていい」 好きにすりゃいい、といったときのサスケの顔といったらモザイクかけたいぐらいやばかった。多分サクラちゃんがいたら、一瞬で失神してるぐらいの破壊力だった。オレの心臓は喉元まで飛び上がるかってぐらいだった。耳から機関車みたいに蒸気がでそうなぐらいの、狙い撃ちの一撃だった。一目惚れっていうのはあるんだ。問答無用の一撃だった。これ以上は誰にも教えない。秘密だ。 握ってた手も顔もまるごとぼわっと体温があがったオレにサスケの目のあたりから頬にかけてがいきなり赤くなる。 「…………」 「…………」 なんだこれなんだこれ。多分やばい。すごいやばい。めちゃくちゃ恥ずかしい。照れてんなバカ!と俺がいうとうるせえウスラトンカチ!と唸るような声で返ってくる。やばい。調子にのってしまいそうだ。どうしよう。照れ隠しに頭突きして、それから音をたててトーストのカスがついた唇に一度キスした。 「……サンキュ」 「……覚えてろ」 あたりまえだ、忘れろったって忘れてやらないし忘れられないだろう。笑った拍子に涙腺もゆるんだのかちょっと鼻の奥がつんとする。オレの涙腺と堪忍袋はサスケのせいでいつも決壊しまくってる気がする。そういやファーストキスもこいつだったんだった。人生ってわからないもんだ。 オレは結局女の子のふわふわ生乳も生尻もお股ちゃんも知らないまま大人の階段をのぼってしまうが、サスケなんだからしょうがない。そんでもやっぱり生乳生尻は魅力的だからいっぺんお色気の術で万事解決みんな幸せ、人生はばら色だ。オレのはじめてはちゃんとロマンチックなことになるみたいだからもうどうでもいい。どうもオカマを掘られちゃうのも確定だけどどうでもいい。 オレのバカみたいなこだわりを、サスケがなんだっていいって言ってくれたこと。オレならなんだっていいってサスケが言ってくれたこと。そんでサスケだから。サスケだから。 オレの出勤十二時まではあと二時間と十七分だ。 ……なーんて童貞は童貞でも、素人童貞なだけだったりして。 なんて嘘、だなーんて嘘だ。 なんて、嘘だ。 |
「ぼくたち男の子」/ナルトサスケ |
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