太陽が目をつむる 2.流れ星は何処 どれだけクールと言われていたってかっこつけていたって、アルコールの助けを借りてもちっとも上昇かなわず壁紙がはがれるみたいにグチをこぼすのだから恋って偉大だ。しみじみとどこかの誰かの科白を噛みしめカカシは感動している。グラスを傾けつつ相槌をうち、抜け目なく相手のグラスの水位がさがるたびにいそいそと水割りをつくりレモンを放り込んでやった。 (店員をいちいち呼ぶのもかわいそうだから烏龍茶からお湯のポットから氷からなにからなにまでテーブルには揃っている。) 見る人が見たなら十中八九悪い予感に慄く笑顔だ。だが長い付き合いの上忍連中は居合わせておらず、サクラは早々に気分がわるくなったいのの口にお冷のジョッキをあてがうのに精一杯、ナルトはかわいい女の子ととっくに引けてしまっている。 当人のサスケと言えば、傷心をどうにか抱えているだけで精一杯らしい。トイレに行って帰ってきたとおもったら立て続けに銚子をあけた。三日でふられろ、とおどろおどろしくもどん底に低い声で呪ってから、聞かなかったことにしてくれ、とすぐにいうのだから相当まわっているのだろう。 結局、お開きになる頃には雲でも踏むみたいな足取りだ。ぽつぽつと提灯が点るシャッターの下りた商店街を抜けると、この春閉鎖したかなり大きな工場の裏手の道に出た。鉄条網とフェンスで囲われた敷地には一つの明かりもなく、錆びた鉄材には蔓が絡みつき生い茂ったススキとセイタカアワダチソウにうずもれまるで難破した大きな船か、話でしかしらない象の墓場のようだ。 「報われないねえ」 「うるせえ。しょうがねえだろ、そんでも…………好きなんだ」 どっとどこかでにわかに湧いた笑い声にたやすくまぎれる、掠れて落とされたやるせない声にカカシはひょいと眉をもちあげる。クソ、と吐き捨てて俯き、唇を白くなるほど噛みしめるのに泣くんだろうかと焦ってしまって、心臓が逸って慌てている。 「…………吐く」 「ちょ、ま、おま……!」 どうにか道中は堪えたらしいが、部屋についたとたんにトイレに自分で入ってくれたのはありがたかった。そのまま倒れるのではないか危ぶんで、開けっ放しのトイレの横、壁に寄りかかる。四角い真っ暗な空間から人間の足が二本突き出てるのは間抜けなものだ。電気ぐらいつければ、と電気をつけてやると便器に懐いていた。 けっこんしたい、とこぼすのに隣にしゃがみこんだ。 「……結婚て、なんで結婚」 「俺は本気だ……う」 (泣くし) 「今日は」 「うん?」 今日は、と言葉をきったサスケが顔をあげる。天窓の外に夏の夜空が見えた。 「流星群がくるんだ」 「うん?……ああ、あれって今頃か」 八月上旬頃に見えやすくなる、流星群。たしかペルセウス座流星群とかいった。 「ってことをあのドベに教えてやったんだオレが。そしたらそれで、俺の後ろで女ひっかけて」 背中を丸めて便器のそばのマットの毛をぶちぶちとむしっているのはなんとも情けなかった。サクラには多分死んでも見せない格好だろう。そこでちょろそう、と思ったのがいけなかった。 語尾はわずかにかすれた。 「ちょ、意地悪しないで」 「う」 手の甲についたジェルが渇くころにはもうサスケはぐでぐでだ。 我慢きかなくなるから、と呟いて背中にのしかかると胸の下、ぶるぶると震えてるのがわかる。怒っただろうか。気持ちいいときに痛いのはだめだ。漏れそうになる。変態、と罵られて笑った。反論はしない。 おしいった中は軋むほどきつくて、痛いほどだ。とても動けない。 肘はベッドについたまま、両手を伸ばしてとがりきった乳首に指の腹をおしつける。円をかくように撫でてからゆっくり摘まむと、小さく声が上がって猫のように身をよじった。 「……っ、ふ」 入ったところからくちゅ、と濡れた音が立つのにカカシは唇を舐める。ほんとうは勝手に揺さぶって思い切りひっかけてやりたい。 (でもそれで嫌われるの、いやだし) それにサスケが思うより、ずっとサスケはこういうことが好きなようだ。シーツに押し付ける耳が赤い血の色を浮かせていて、乳首をいじるたびに下腹におしあたった尻が緊張と弛緩を繰りかえしている。軽く摘まむたび、猫みたいに声をあげた。 白くなった蜂蜜がお湯にいれると溶け出すような変化だった。ゆっくりと動きはじめる。さぐるように小さくゆっくり、指と同じ速さで、聞こえる息遣いに苦しそうな様子がないのを見ながら、だんだんと深めていった。 短い声を詰めるたび、せりあがった肩胛骨がふかく窪みをつくってまた平らかにもどる。うねる背中の窪みに鼻先から汗がこぼれ落ちていくのを追いかけ、そばかすのできた肩口から首筋に唇をおとしていく。汗を舐めても塩気はろくに感じない。終ったら水分とらせなきゃ、と考えながら、しめった黒髪を鼻先でかきわけて耳朶に歯をたてた。 「ぁうッ」 辛うじて支えていたはずの肘があっさり折れて、かき寄せたシーツに突っ伏すのに目を細める。きつめの浅いところにひっかけるようにして、ゆっくりと揺らした。 「う、う――」 「……きつい、んだけど」 「し、るか、……ぅ、く」 ぶるるっとのけぞって食んでくる、不意打ちに眉をしかめながら深々と沈むと濡れそぼった声があがった。 「こっち?…こういうのと、どっちが好き?」 「……ん、んッ」 「答えて、よ」 シーツにおしつけてくぐもった声をあげながら頭をふる、背中に半ば拗ねた声をだしてゆっくり体をおこす。肩口で汗をぬぐって、下腹におしつけられた尻を両手で掴んだ。 「……あ?な、に……」 ゆっくり押し開くと緊張したのか皮膚の下で筋肉がわずかにはりつめる。どろついた肉に噛みつかれる心地よさに喉がかすかに鳴った。濡れきってとろけきって息遣いだけはないひくつきに震えている。ぐ、と親指で尾てい骨のところを押しながら、ゆらゆらとこね回す。 「は、ぁッ」 「んー、これいいなあ」 「く、ぅ、あ……や、やだ」 堪えきれないと訴えるように身をよじって、手探りでカカシの指先をつかまえてくる。ぐうっと深くはいりこむと湿った手のひらに爪が立てられるのに、唇を噛んで声がもれそうになってカカシは堪えた。こういうとき痛いのは駄目だ。血がのぼる。 こぼした息はやたらと熱っぽくなる。不穏さを感じたのか、乱れた髪の隙間から見てくる瀝青の眸にゆっくりと唇をつりあげる。 「や」 肘をついて逃げるよりはやく、上から押さえつけてぴしゃりと音がするほどつよく捩じこむと、たかい鳴き声があがった。 「ひ、――あ!」 戒める腕を振り払おうとする手を逆ににぎりこんで、深々と体を沈める。ギギッとベッドが軋む音が鼓膜を叩き、しなやかな体が跳ねた。肉付きのうすい双丘を揉みながら、きつく窄まる肉をこじあけて擦りつけて犯していく。 それしかつかまるものがないみたいにきつく握りしめる指がやたらと嬉しくてゆっくり体を倒すと、展翅をされる虫のように震える。動きをとめないまま、鼻先をこすりつけるようにして首筋に唇をおとしていく。あまりしゃべる性質ではないからなにもいってくれないけれど、体は犬みたいに尻尾をふって喜んでいるのがかわいい。 シーツに押し当てられていた口がうわ言のように名前を呼ぶ。なに、と低く返すと、濡れた唇が開いた。 「――あ、ァ、も、オレ、もう、あ」 出ちまう、と溢れた泣き言に感じたのか、蕩けたところがきつくカカシを締めつける。うん、と頷いて、よせた耳元で自分でも笑えるほど甘い息が落ちた。 ぶるぶるっと胴震いして、掻きむしったシーツに顔をうめてくぐもった声をあげる。高まった痙攣にもっていかれるのに逆らわず、カカシもおおきく息をついて腕から力をぬいた。まだ余韻にふるえる中で揺らし最後まで出し切ると、過敏になったままのサスケの体が胸の下で震えた。くたくたとシーツの上に沈む。 「こんなとこまでついてる」 体を放して覗き込めば、あらく上下する胸元にまで白い飛沫がひっかかっていた。ゆっくりなぞると、ひくりと喉が鳴った。 (飛んじゃってる、のかな、これ) 茫洋と蕩けたままの黒眸にふと笑ってかがむと潤んだ目尻に唇をおとした。落ちていた枕を拾い上げて腰の下に押しこんだ。右足を抱えて濡れたところになかば柔らかいままのを掴んで押し当て、沈む。 「あ…?――あ、あッ」 「いた、ちょ、髪」 引っ張らないで、と抗議するカカシをサスケは睨みあげた。のけぞって胸郭をひろげて浅く息をついている。 「ぁ、なに、勝手にまた、いれ」 「ん?」 「とぼけ、んなっ……うー……」 「深呼吸、ほら」 急に入った違和感と圧迫感は相当で、きつい。業腹だが息苦しさが勝ったらしく、うながされるままに深呼吸をする。落ち着くまでゆっくり待って、髪を撫でる手に瞼をもちあげる。鼻を鼻に擦りつけた。眇めた右目だけで笑う。傷のはしる左眼は閉じたまま。 「痛くはないでしょ。さっきより小さいもの」 「そ……いう、もんだいじゃ、ねえだろ」 「そうかな」 かがみこんで頬に唇が落とす。びくびくと跳ねた体に顔を背けるのを、顎に手をそえて仰向かせた。おちた髪が額の上でくしゃつくくすぐったさに細めた目尻を指でなぞる。 「よさそうだった」 上体を起こして開いた太腿の上にサスケの下肢を乗せる。腹の裏側を擦られるのか、身をよじるのをどうにか押さえつけた。 ゆっくり胸板からなでおろし、うな垂れていたのをつかんで手のひらでもみこむ。親指の腹でくびれたところをなぞると、やわらかに芯がとおる。ぷつりと雫がういてすこしかわきかけていたのはすぐに濡れてきた。 「こっち、触らなくても、いってたもんね」 「ん、…あ」 顎をひいてかすかに唇をかむ。ゆっくりと手でこする動きに爛れたままの粘膜がまた、熔けた。脇腹をはさんでいた膝がはねるのに喉を鳴らして笑う。 根元のほうを袋ごともみこみながら、親指でとわたりを押すと熱いところがぬめつきながら食み、カカシはかわいた唇を舐める。予想外に反応がよくて、困る。いい意味で。 添えていた手でびくつく右の太腿から膝をなでおろし、胸につくほど曲げた。崩れそうなほど紅く熟れきった粘膜の色にじわりと眼底が煮えて、ひどく昂奮する。いい眺め、とため息まじりにもらすとシーツに落ちていた手がもがいて、繋がっているところを隠そうとする。 見るな、ともれた泣き言をかわいそうと思うよりも面白がってしまうのは、やっぱりいけないことだと思う。思うだけだ。どこかの雑誌にのってる写真みたいな格好だよとは指摘してやらない。お楽しみは長いほうがうれしい。 「見るとけっこう興奮するけど」 しねえ、と即かえった声に今度ぜったい見せてやろう、と不穏なことを決心して覗きこむ。一部の隙間もないくらい包みこまれていて、押し込むたび溢れる潤滑につかったジェルがやたらとぬめって見えた。 「なんでこんなとこに入るのかなあ」 「あんた、が云う、な……」 もう片方の手で顔をおおったまま聞こえた文句には確かにと頷くほかはない。濡れだした指先がすべりをよくするのに、お互い様とはやっぱりまだ云わなかった。恥ずかしいのは好きそうだ。 「締めて」 息をのむと同時に、きゅうっと狭まって喉が干上がる。ぴちゃりと聞こえた水音は先端がまた濡れたからだ。ぬるぬると指先でいじりながら、揺らしていくと物欲しそうに咬みついてくる。上手、とかすれた声を落とすと口元を隠したまま、眉根をきつくよせて眼をとじて頭をふった。 「ン、ん、ぅ」 「深くしていい?」 「あ!」 きいた癖に答えを返す前に深々と押し入った。のけぞった首元に唇をおとすとすこし粟だっていて、下肢に重たるく熱があつまる。 「……きつ、い、ぁ、あ」 「痛い?」 「ぅ、いて、え」 きいた途端あわてて頷いてくる様子に嘘だろうなと思って、ゆすぶってみるとすぐに声が切羽詰った。 「あ、や、ぁ――あッ」 「痛いの?ほんとに?」 「やだ、あ、う」 「サスケ」 「あ、ちが、や、やだ、いぁ、だ」 甘い声をあげながら首を振られても信じられない。腹の裏側、一番声があがるしこりを押し上げるようにすれば、びゅるっと飛び出した卵白みたいな透明な雫が指の隙間から腹に滴り落ちる。だがすぐ新しくこぼれて飛び散り、汚していった。 (濡れやすいのかな) 指のすべりがよすぎてかえってやりにくい。いったんシーツでぬぐって、血の色を透かして濡れそぼった先っぽ、いまにも果汁がおちそうなほど開いた小さな口に指先をねじこんで、くじる。 「ぁ、あ」 「あー、すっげ」 とろけきった蜜がからみつく甘い蠢きに背筋を慄わせ、もう鳴き声しかきこえない唇に誘われるまま唇を重ねた。とたん母親に指でもさしだされた子供の顔で吸いついてくる。歯がぶつからないように気をつけて舌をすりつける。間近で睫が春をまつ蝶のようにふるえて、首にしがみつかれた。 「んん、んッ」 足まで腰にからまってどこかの大陸にいる耳のおおきな有袋類みたいな格好だ。考えると妙にかわいらしい。 「そこ好き?」 「ぁ、ちが」 「いいよ、こんど沢山してあげる」 「ん、ぅ―――うっ」 ぐちぐちぐちっといきなり咬みつかれて、首筋を駆け上がった震えに息を詰めた。 脇腹をひくつかせてカウパーまじりの精液がぽたりと垂れ落ちて止まり、また白く吹き零れる。 「え……?あ?なん、あ、ぁっ?」 自分でもよくわかってないのか、惑った声をあげるのに箍が飛んだ。 数秒か数十秒の空白、放埓、ぐしゃついたシーツに顔をおしつけたサスケがベッドに頭をぶつけそうなぐらいずり上がっていた。荒く上下する胸に浮いた汗がいくつも粒になってかすかに光りながら落ちていく。腹の間は潤滑用のジェルだか先走りだか精液だかがいりまじったものでどろどろだ。 ぶるっと頭をふって前髪を手のひらでもちあげる。じとりと湿った汗で濡れた。脇の下から腹、膝の裏も汗みずくだ。 「あ―――……やっちゃったなあ」 ティッシュボックスが空なので、引き出しにおいてあったポケットティッシュを探し出す。三枚ほど抜き出しながらカカシは呟いた。 朝日が差し込む空っぽの隣をみて思ったのは、(やってしまった)という言葉だけだ。 ちょっと俺も酔ってた、と起き上がってから血が下がる感覚に逆らわず枕に倒れこむ。何気なく見下ろした枕カバーに残った黒髪を見つけてしまい、頭を掻いて両手に顔を埋めた。 「あ―――……やっちゃったなあ」 近年稀にみる酒の上での「やっちゃった」だ。どうしようかなあと頭を抱える。いまさら外聞がよくないなど気にはしないが、自分の中でけっこうなルール違反をしてしまったという認識はある。背中からキノコが生えてきそうな気分だ。 ぐでぐでに酔っ払ったのをいいことに元教え子を頂いてしまった。 「あ―――……ほんと、どうしよう」 とりあえず禁酒でもしようかな、と決めて起き上がり慰霊碑にでも行こうと決めた。反省は然るべき場所でやったほうがいい。いつもの自分の部屋のにおいにまじってごく微かな残り香がするのがなんとも悩ましくてしょうがなかった。 (モラルというかさ、常識というか良識というか) 灰色の霞がかる森を抜け、朝露がひかる下草を踏んでいく。黒御影の慰霊碑の前でとりとめもなくつらつらと色んなことを思い返したりして、踵を返した。なんてことはない、おなかが空いたのだ。 ゴミ袋のそばにたかったカラスが鳴きかわしている。朝の光にあらわれた灰色の街並み、ところどころにたった電柱に登り屋根伝いに走っているとサスケェ!と聞き覚えのある声がした。 (ナルトだ) 十メートルちかくはなれた場所からナルトが何かを大きく投げるのを、サスケの手が受け止めた。じゃあな、とよく通る声で言うと屋根に身軽く上って、朝の町に走り出す。影が見えなくなるのを見計らって、サスケの背中に声をかけた。 ぽつぽつと言葉を交わして、わるい、と気まずげにサスケが呟くのに、カカシは喉の奥で笑った。あまりいい笑い方ではなかったかも知れなかった。俯いたサスケが落ちた沈黙を誤魔化すようにスポーツドリンクの缶に唇をつけている。 ふうっといかにも緊張をほどいたとわかる息の吐き方が、いかにも水分の甘さを伝えるようで喉が渇く。一口ちょうだい、とねだるとサスケが顔をあげた。いつもは涼しげといっていい、切れ長の眼も今朝はすこし浮腫んでいた。泣いたせいだ。 かすかに首を傾けて唇を重ねた。甘みの後ろにかすかな塩分を感じて、唇を離す。 「ごめん、怒った?」 首をかしげるとサスケは子供のように首をふる。ふっと息をほどいてよかったと返した。なにに驚いたのか眼を丸くしているサスケに流石に気恥ずかしい気がして下ろしていた口布をいつもの位置に戻すと、サスケの視線が猫のようにふいとそらされる。 「……帰る」 何気ないその動作でいまさら人通りがほとんどないとはいえ、往来でなにをやられたかを思い出したらしい、わずかなはにかみが頬にあった。 離れがたい気持ちがいきなりこみ上げて、手首を掴んだ。 「おい」 「うん」 「なんだよ」 眉を寄せてねめつけられても、うん、といい年の大人がやるには随分子供じみた様子で返すだけだ。放せ、と言われるがもう一度、うん、と頷いて捕まえていた手首を放し右目を眇めて笑った。 「今度メシでも食おうよ」 「ああ」 「あさってとかは」 「わかったから」 とっとといけ、と犬の子でも追いやるように手を振られてひどいなあとちっとも堪えていなさそうな声でのんびりと呟いた。 「今日は?非番?」 「ああ」 「なんだ」 いかにも拍子抜けしたというセリフに顔を顰めるので、手持ち無沙汰になった手で頭を掻く。 「どういう意味だよ」 「シフトはいってるからかなあとか、思ってたんだけど。そっか……そっか」 「なに一人で納得してんだよ」 「じゃあ、いきなり出てくってのはひどいじゃない」 「…………」 愛が足りないと、どう考えても脳みそが温いことになってるに違いないセリフに絶句して口をあけるので、変な顔と笑った。 「ちょっと寂しかったよ」 スポーツ飲料の味がする唇を舐め、朝の光を受けながらカカシは強く決心する。 (一夜の過ちになんか、絶対、してやんない) |
「流れ星は何処」/カカシサスケ |
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