おっきいのはボインやで〜、ちっこいのーはコインやで〜と俺はひとり露天風呂につかりながら口ずさんでみる。 どっちかっていうとむっちりお姉さんが好きだった。二の腕とかぽよぽよしてておしりもポヨポヨ、そのぽよよんナイスおしりを手のひらでなぜたり、太もものお肉がひんやりしてるのとか大好きだった。でもアスマの好みの女みたいにひたすらバインバインしたオッパイをみせられると懺悔しちゃうことのが多かった。 なんていうんだろう、あんまり恰幅のよすぎるソプラノで肺病病みになった椿姫マルガリーテをされても迫力負けしちゃうでしょう?スタミナなくてすぐにばてちゃうのと関係はないと思うけれど、迫力で負けちゃうんだから仕方ない。だから俺は特盛り山盛りと文句をいわず並ぐらいからいささか足らないオッパイで十分オッパイに満遍なく愛をあたえ幸せを享受していた。ていうか希少価値(巨乳爆乳)をねらわなければこの世の中はすばらしいオッパイが溢れかえっているスケベ天国だということをアスマも気づけばいいのにまったくもってもったいない。 で、話がずれたがオレはコインのほうがすきなのだ。 そうだよこれはコインだ。ボインじゃないけどコインだ。 その衝撃たるやなんていったらいいだろう?宇宙人との遭遇?猿がはじめて炎をつかうとき?頭の後ろでマンガみたいな100tハンマーがごんとふられて目からぼろりんってふるい目ん玉が飛び出しちゃった感じだ。 そう、ボインじゃない、コインなんだ。 のんびりしよう のんびりしたいなあ、と呟いていたら三代目がしょうがない、といいながらくれた任務はかなりのんびりなものだった。山ちかくで夫婦がかまえる旅籠のお手伝いだった。息子さん夫婦が毎年お孫さんをつれて手伝いにきてくれるのだが、今年はどうも都合が合わなかったらしい。同じ手伝いでもお孫さんと同じぐらいの年がいいとのことで、下忍に依頼がきたのだった。 生みたて卵を回収したり軍鶏を囲いに入れたり、裏手につくった畑の野菜を収穫したりでそれなりにたのしんで夜は温泉だ。 雨にあらわれて輝くような緑、秋はさぞかしうつくしいだろう紅葉の古木がしげって温泉に影を落としている。けぶる湯気、ただよう硫黄のにおいとせせらぎの音、鹿威しがいい音でカポーンと鳴った。 「うっ……ひょー!絶景だってばよ!」 「すっぽんぽんでンなとこに立つんじゃないの、丸見えでしょーが」 岩の上にたって眼下の渓谷をみおろしたナルトの腕を掴んでオレはやれやれとため息をついた。 「うおおおおー、すんげー!」 うっさいわよー、もう!と竹でできた囲いの向こうからサクラの叱り声が聞こえる。 「でもさー、超きれいじゃん!ほら、あそこ、崖んとこ虹!」 あ、ほんとだー、とサクラの声がかえってくればナルトはにししと嬉しそうに笑う。 「でしょでしょサクラちゃん、虹!」 「あーあー、あの虹とかもサスケ君と二人っきりで見たんだったらすんごいロマンチックなのにィー…………………ふふっ…えへ…………なーんて、キャー!」 どんな楽しい想像をしたのかは知れないが、すさまじい黄色い声にオレとサスケは首をすくめ、ナルトはしょぼんと肩を落としてから、きっとサスケを睨みつけた。 「やっぱてめーむかつくってばよ」 「……フン」 「でも!今日、一番むかつくのは先生だっつうのォ!」 なんで風呂はいってまで顔見してくんねえんだって!いけず、変態!とだんだんと足踏みしても見せてやんない。あたりまえだ、覆面忍者から覆面とったらタダの忍者じゃないか、そんなのつまらない。だーめ、と言って顔にまいたタオルをひらひらさせたらムキイとナルトは怒った。その拍子にナルトが岩場の濡れたところにつるんと足をすべらせる。まったくそそっかしい。手を伸ばそうとしてチッと斜め下からきこえた短い舌打ちの音にオレは伸ばしかけた手を止めた。 「あ〜あ」 ドボーンと盛大にあがった水しぶき(お湯しぶき?)を浴びながらオレはやれやれとため息をつく。頭打ったかな、あれ、と思いながらザブザブとお湯の中を進んでいくと、白いタオルがぷかぷか浮かび上がってきたのを拾いあげた。 「……」 「ゲホ、ゲホゲホッ」 「んの、ウスラトンカチが……ゲホッ」 サスケに引きずり上げられたナルトは端から裸んぼで、オレのはちゃんと顔にも腰にも巻いてあるしってことは。 「サスケ、丸見えだよ」 「げっヘンなもんぶらつかせんなってばよ!」 「……アホか、てめえら」 「どこ見てんのよ先生!ナルトもバカー!」 とかいいつつ、すこし嬉しそうな声なのが先生こわいよサクラ。口元をおさえて、チェシャ猫みたいな顔をしたナルトがにまっと笑う。 「へっへっへっへ……サスケちゃんのはよぉ」 「きゃああ!やめてよ!セクハラよ!」 サクラの黄色い悲鳴の後ろでサスケが両手で印を組みだしたのを慌てて止めた。午、寅って、火遁はないでしょ、火遁は。 「はいはい、ちゃんと隠してね、刺激がつよいから〜」 「うるせえ…!」 と濡れたタオルを差し出すと思い切りひったくられ、ざぶんとお湯につかってしまう。顔が怒ってんだか恥ずかしがってんだかで真っ赤になっている。あー、なんかいまのはセクハラとかとられたのかな。まあ、色々前科はあるから否定はしないし、下心があったのもぜんぜんまったく否定しない。べつに頭ン中でなにしようが自由だし、いくらオレだってかわいい生徒の前で男一匹になったりしないし、好物はさいごに取っておくほうだし。 ナルトはぎゃあぎゃあいいながら半ケツを水面からだして、平泳ぎをしている。 「先生、見てみて月面泳ぎ〜!」 なんだそりゃ。いや、すごいけどさ。 でもナルトの真骨頂は月面泳ぎ(イルカ先生直伝らしい、オレちょっと友達になりたいよ)やお色気の術じゃない、食事時だった。 老夫婦が経営してる小さなお宿だけどちゃんとお膳が四つ並んで、おそろいの浴衣でご飯にしようというときだった。サクラがおひつにはいったご飯を人数分よそってくれるのに男陣が女の子がいるっていいなあ、と噛みしめてるときだった。サスケの分のごはんだけやまもりてんこ盛りなあたりさすがだと感心してるときだった。 「そうそうサクラちゃん、すんげーの」 「なにがよ」 「サスケの乳首とかいって、マジ超ピンクなんだってばよ!」 サクラはおひつをひっくり返した。サスケはぶはっと麦茶を噴いた。俺はぼーぜん。 「うお、サスケ汚ぇな!鼻から麦茶とかしてんじゃねえだろーな!」 がちゃん、とグラスをおいたサスケといったら本気の本気だった。 「ゲホッ……てめえ、このウスラトンカチが!」 おお、スライディングと同時にナルトをかにバサミでずでんと引き倒す。すかさず仰向けにころがしたかとおもったら、ナルトの右腕をとらえて腕ひしぎ十字固め。じつに流れるような動きだった。関節はどんな人間も鍛えようがないから、便利なんだよね。 「ラァッ!」 「い、ってえええええッ!!」 バンバンバンとナルトが畳を叩いてもキれたサスケは容赦しない。写輪眼も発動しそうな勢いだ。 「ギ、ギブギブギブッ!いってえ、折れる折れる!」 ってこのままだと本気でまずい。 「はいはい、サスケそこまでー。ナルトの関節おかしくなっちゃうよ」 ていうか、浴衣だから裾がはだけて足とか丸見えで、なんだかきゃー、サスケくんカッコいい、なんていいながらサクラ眼がすごいし、俺は俺でうっかりアレだ。ん、だからアレねアレ。文脈を読んでいただきたい。 サスケの脇にむりやり手をねじこませて引き上げる。ようやく無理な形にされていた関節がもとの方向にもどって、ナルトはほっとため息をついている。ウンそりゃ痛いだろうよ。 「るせえ、はなせ、このボケ!」 「あのねー、ボケはないでしょ、ボケは」 「ウスラハゲ!」 「………………ゆうじゃない」 最近マクラに髪の毛がついてるから考えたくなかったのに、って何を思い出させてくれる。いってくれるねこのガキは。たまにサスケの生意気ぶりは俺の中のなんだろう、加虐心ってなんだか変態じみてるな、なんかイライラムラムラってこれもなんだか変態くさいな、まあそんなところを刺激する。だから意味がないのに顔踏んづけたりとか腕捻ったりとかしちゃうんだけど、これってオレだけがいけないのかね? とんっとサスケの背中を押す。前屈みになったサスケの左足に俺の右足をひっかけ、あいた左足をサスケの首に引っ掛けた。そしてサスケの右肩をひきあげる。首および肩にかけての複合関節技。 「ぐ、う……っ」 「ひでえ、カカシ先生、卍固め……ッ」 「頑張ってサスケくん!」 白地に紺藍でツバメをそめぬいた浴衣の襟元がナルトにかけた腕固めのせいで乱れて帯もゆるゆるにゆるんで片方の首からなめらかな肩は露わもいいとこだ。 ソレが見えた瞬間、脳内円形ステージにぱっとピンクの照明が落ちた。 おっきいのはボインやで〜ちっちゃいのはコインやで〜、とかなんだか某巨乳アイドル事務所イエロー的士の社長みたいにプリプリしたおっさんが頭の中でウクレレをじゃららんと弾きながら歌っている。 思えばとおくに来たもんだと関節を極めながら俺は走馬灯に思いをはせた。 あの運命のコペルニクス的転回の風呂場からだった。あんときサスケの睫がながくって肌が白くってなんてことに気がついたりしなけりゃよかったんだ。ついでに言えば目も覗き込まなければよかった。だってあーもう、そんで恋してみちゃおうかなんて考えたオレが浅はかだったんだろうか。でもしょうがないだろ、胸がドキドキすんだよ、しょうがないんだよ。 そうだよサスケのこれはコインだ。ボインじゃないけどあきらかにコインだ。 その衝撃たるやなんていったらいいだろう?宇宙人との遭遇?猿がはじめて炎をつかうとき?頭の後ろでマンガみたいな100tハンマーがごんとふられて目からぼろりんってふるい目ん玉が飛び出しちゃった感じだ。 そうだよ、これはコインなんだ。 チラって見えたその色合いっていったらなかった。桜色だと薄すぎる、ばら色だと濃すぎる、でもなんだろうイチゴと生クリームを混ぜたみたいな色してんだ、なめたりかんだりしたら甘酸っぱそうなのにとけそうなんだ。なんていうかおいおいこんなものを果たして太陽のもとに堂々と晒していいのかって感じだったのだ。 「サスケ、ギブアップする?」 「く………だれが…ッ」 セリフさえなんだかすけべに聞こえてきたぞって耳が腐ってるだけだよね。 いいもんどうせ俺はイチャパラを収集するエロ上忍だよ、すけべが好きスキ大好きだ、大好きだぞうとかいってランバダダンスをシュビデュビデュビデュバっと踊ってやったっていい。すけべが好きで何が悪い。ぼくたちオトコノコはどうせオルガスムスの申し子なのだって誰かが言ってたのだ、俺はすけべが大大だーい好きだ。 ってバカかオレは。 俺はだって教師なのだ。 お前らは腐ったみかんじゃないって言う以前に俺が腐ったみかんになってどうする。 「つ、ぅ…ッ」 そこでハァハァいうなよサスケ。ぎりっと関節を極められてのけぞったサスケの首筋に濡れた黒髪がはりついている。くるしいもんだから顎をのけぞらしてるのもなんだかいちいちヤらしい。いやえろいよ、とか感心してちゃだめだろ。 いやでもナルトがいうとおりサスケの乳首ってマジ超ピンクなんだよ。いやでもじゃない、こんなんじゃ俺ホモでロリで乳首にムラムラどきどきするインモラルな野獣教師もいいとこで救いがないじゃない、ってまるでエロビデオのタイトルだよ、バカかオレは。いやでもオレ上忍だし、いやこれ関係ないでしょ。 (おいおいおいおい混乱すんのも大概にしとけって話でしょ) 「ギブアップ?」 じつに口惜しそうにゆっくりもちあがったサスケの腕がダンダンと畳を叩くのに俺はサスケを開放した。 やれやれだ。いやうっかりなアレがね。うん、アレだ。 「さ、お前ら、とっとと寝なさい、明日は早いぞ〜」 そしてしょうがない大人の俺はもんもんとして夜眠れなかった。アホらしい。 朝風呂でもいくか、ともぐってうとうとしてただけの布団から腰をあげたのは夜明けをむかえた五時前。露天風呂にはかすみみたいに湯気がかかっていてなかなかいい風情だ。このときばかりは顔をタオルで隠したりもしないし前も隠してない。ゆったりひとり露天風呂なんてかなり贅沢じゃないか? ボインの歌を口ずさみながらちょっと熱かったから蛇口をひねってお湯を埋める。 帰ったら火影さまにちゃんとお礼を言おう。 と、ガラガラっと露天風呂の脇にそなえられた脱衣所の扉が開く音がした。 「肩平気か〜?」 「……」 てめえがやりやがってくせしやがって、とすっぽんぽんのサスケに無言で責められる。 「朝風呂きもちいいよ」 「フン」 可愛くないけどまんざらでもなさそうだ。ざばっとかけ湯をするとサスケは湯温をたしかめもせずにつかった。そして形のいい眉を顰める。 「ぬるい……」 「おれ熱いのダメなんだよ」 「ぬるかったら気持ち悪いじゃねえか」 「熱いほうが長くつかってらんないだろ」 ってさっきからサスケ、お湯が揺れるたびに水面に撫でられて乳首がちらちらしてて、なんていうか夜明けの光のせいかよくわかんないけどいつにもまして肌が白いとこにちっちゃいくせにきれいなピンク色ですこしだけぷっくりしてる。 とんでもなく卑猥でうっかり、ま、ウッカリ朝からアレだ。 「あのさあ」 「なんだ」 「触っていい」 「なにをだ」 なんでおまえ何回もキスとかされといてこう警戒心がうすいのかね。妙にスキがある上から俺も手だしちゃうとおもうんだけど。 そうだすけべが俺は大好きだ。 でもオレだって教師なのだ。 ああだがオレは教師の前にコインを愛する一人の男なのだった、なんて気取ったいいわけ通用するかな。 キスのときは拳骨三発だったけどここで乳首ぐりぐりやったらどうなんだろう。 男は冒険をもとめ神秘を探求するものだって誰かが言ってた気がする、いや言ってた、うん、言ってたよっていうか今ここでイチゴみるくな誘惑にインモラル野獣教師オレが言うことにする。 トマトやるから許してくれないかなあなんて都合のいいことを考えながら。 |
「のんびりしよう」/カカシサスケ |
サス乳愛好会さまにささげます。 |